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Global Biz Forum/Japanese Study

成果主義なんて大嫌いだ!! 査定する側の論理と

by mo516 2007. 6. 14.

成果主義なんて大嫌いだ!! 査定する側の論理と

矛盾

 成果主義につきものの「人事考課制度」。サラリーマンの昇進や給与に直接、影響するだけに、公正で透明な評価が望まれるが、実際には多くの矛盾も抱えている。人事考課が、会社員のメンタルヘルスに悪影響を与えているとの調査報告もある。本邦初、「考課者」緊急アンケートなどから、その実態に迫った。

本誌 奥田祥子/イラスト 成田輝昭

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 「評価基準があいまいで評価するのが難しいことが前提で、部下の成果を相対的にランクづけしなければならないのがとても悩ましい」

 「自分が部下につけた評価が上司によって覆され、部下に考課結果をどう説明すればよいのか分からない」――。

 成果主義に基づく人事考課制度で考課を担当する30~59歳の「考課者」100人を対象にした本誌の緊急アンケートからは、こんな悩める本音が明らかになった(調査協力・インフォプラント)。

 成果主義に基づく人事考課制度は、1990年代後半から日本企業で導入され始め、今では広く浸透している。役職に就いていない会社員の場合、自分が所属する部署の課長クラスがまず一次考課を行い、さらにその上の部長クラスが二次考課を行うケースが多い。管理職自身も自分の上司によって、考課がなされている。会社が定める評価基準に基づき、5段階などのランク分け、つまり査定が行われ、昇給や昇進などの処遇に影響する。多くの企業において、人事考課制度は、サラリーマンの給与を決める重要な要素となっているのである。

 こんななか、「考課される側」は、「考課する側」に向けて、不満や怒りをぶつけている。それについては、これまで本誌をはじめ、多くのマスコミが取り上げてきた。しかし、考課者自身も、会社が定めた人事考課制度のもとで、悩み、苦しんでいる現実がある。今回は、そこに着目して、「考課する側」の実態を明らかにするべくアンケートを実施したのである。

7割が制度に矛盾

 アンケート結果を見ると、実に7割が制度に矛盾を抱き、6割が部下を評価することにストレスを感じている、と答えている。この制度はさまざまな矛盾や問題点も抱えていることが分かる。成果主義人事・賃金制度に詳しいジャーナリストの溝上憲文さんは、こう話す。

 「そもそも人事のプロではない現場の上司が、部下を評価すること自体、非常に難しいことです。人事考課制度は企業経営者にとっては社員の競争意識を高めるという建前はあっても、実際には人件費抑制策として作用している面が強い。そのため、あらかじめ決められた人件費の原資、評価配分の中で高い評価から低い評価までを相対的に振り分けざるを得ない。考課者としては、絶対評価としたいのにそうできず、最終的な部下の評価が自分のつけた評価と食い違ったりして、頭を痛めているケースが多いと考えられます」

 評価基準や方法の問題もある。社会経済生産性本部が2003年に全国の上場企業を対象に行った調査によると、現行の人事考課制度について「改善の必要がある」と回答した248社(全体の82%)のうち、同制度の問題点として、83.5%が「評価者間での評価基準の統一が難しい」点を挙げた。次いで、多かったのが、「目標のレベルや達成度の基準を設定するのが困難」(60.5%)、「仕事の質の異なる人を適切に評価するのが困難」(55.2%)だった(左のグラフ参照)。

 同生産性本部雇用システム研究センターの東狐貴一・主任研究員の分析は、こうだ。

 「たとえば、仕事の成果を比較的数値化しやすい営業部門と、数値化が難しい総務部門とを同じ基準で評価するのは困難を極めます。また、達成度を測る土台となる目標設定についても、現在は考課対象者と直属の上司である一次考課者が話し合って決める場合が多いのですが、目標をどの程度に定めるかは、なかなか難しいのが現状です」

 近年では、これらの問題点を踏まえ、結果だけではなく、プロセス、行動面の評価も重視する企業が増えているという。企画力や判断力、交渉力といった評価項目だ。ただ、プロセス評価についても、今のところ、実効性のある打開策にはなっていないようだ。

 「結果と、そこに至る過程の両方を重視しようという考えは良いのですが、結局、最終的には、それも数値化して評価しなくてはならない。もともと数字で表すのが難しい基準なだけに、考課者にとっては、より困難さが増しているとも言えます」(東狐主任研究員)

 本誌アンケートで、考課者の悩みとして多かったのが、考課結果のフィードバック作業だった。人事考課制度には公平性や透明性に加え、納得性が必要とされている。そのため、考課結果を、考課者、なかでも一次考課者が、考課対象者に直接、説明するケースが増えている。

結果説明で部下に疎まれる

 だが、実際には、一次考課者の意に反した考課結果が出る場合もあり、結果をしっかりと説明し、部下に納得してもらうのは容易なことではない。

 「部下に疎まれるなど、人間関係がギクシャクしている」

 などという声もアンケートでは目立った。

 「考課が上の段階に進むほど、評価配分の調整的な要素が強まり、一次考課者や考課対象者にとっては、最終的な考課結果を納得し難い傾向が強くなっていく」(東狐主任研究員)

 というのが実情なのだ。

 そして、忘れてはいけないのは、考課者自身も自分の上司から考課をされている立場にあることだ。部下を納得させられるかどうかが、自身の評価を左右することにもなり、さらに悩みは尽きないというわけだ。

 深刻なのは、こうした成果主義人事制度の浸透は、会社員の精神面にも影響を与えていることだ。

 「成果主義とメンタルヘルス」の著者で精神科医、産業医の天笠崇さんは、こう指摘する。

 「長時間労働や仕事のノルマといった要素は以前からあったものですが、成果主義の導入によって、進捗(しんちょく)目標管理や成果の評価が明確に示されるようになった分、なお一層厳しくなり、会社員のストレス増大につながっています。さらに、自身の評価に対する不満や職場のコミュニケーション、助け合いの低下も、精神面へのダメージに拍車をかけていると考えられます」

 社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所の06年の調査によると、61.5%の企業(回答企業総数218社)が、この3年間に、うつ病など「心の病」を患う社員が「増加傾向」にあると回答。心の病による「1か月以上の休業者」がいる企業は74.8%にも上った。

評価がメンタルヘルスに影響

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 06年版「産業人メンタルヘルス白書」(同生産性本部)では、会社員の「(自分への)評価への満足感」が01年以降、連続的に低下し、自分の評価に納得できない、すなわち満足度が低いと、精神的健康度も低いと分析。成果主義人事考課制度とメンタルヘルスの関連性を指摘している。

 天笠さんのクリニックでは、仕事のストレスをきっかけに、うつ病を発病した患者が増えており、休業を勧めても、「評価が下がるのが怖い」などの理由で仕事を続け、治療が順調に進まないケースが少なくないという。最近は特に、病状がかなり悪化した状態で受診する人が増えている。

 「仕事がきっかけで病を患い、受診したのはいいが、また仕事のために十分に治療もできない、という悪循環に陥っているように感じられます。個人差はありますが、成果主義人事制度のもとで、精神面の健康を維持するには、仕事と一定の距離を置くことも必要になってくるのではないでしょうか。たとえば、自分が担当する顧客は大事にするが、評価結果にはそれほどこだわらない。家庭や地域にも、時間とエネルギーを割くような働き方です」(天笠さん)

 とはいえども、現実にはそうすぐには転換できないという会社員が多いのではないだろうか。

 では、現在の成果主義のもとで、人事考課制度をより良い方向に改善していくにはどうすればよいのか。前出の溝上さんは、考課者の評価権限を強めることの重要性を指摘する。

 「部門間の評価の格差や評価基準の不統一といった問題点をクリアするためには、考課者である管理職に評価権限と賃金原資を委譲する必要があると思います。評価基準についても、管理職の判断によって、各部門が仕事の実態に即した項目を設けるのです。そうすれば、人事考課制度の公平性や納得性はもっと高まるのではないでしょうか」

 考課される側、考課する側にとっても、人事考課に臨む姿勢を改善する余地はある。前出の東狐主任研究員は、こう話す。

 「会社側が人事考課の過程や結果についての情報公開を進めたうえで、考課される側も考課する側も制度への理解を深め、納得がいくまで目標設定や考課結果について、上司、部下と主張し合うべきです」

 何も言わなくても、上司は自分のことを見ていてくれている、部下は自分のことを分かってくれている、という時代ではなくなったのだ。成果主義時代を生き抜くには、会社員自身の意識改革も求められている。

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